BLUE DIARY

役者・モデル川口凛の奮闘記

献杯、の巻


実は「献杯」という言葉を去年初めて知った。

恩師が去年の7月22日に亡くなってから、幾度となくその機会は訪れて、
なかなか信じられなかった彼の死を、否が応でも突き付けられるようで実は嫌いだった。


でも、時は流れてそんな今年の7月某日、
私の大学時代の先輩で、私と同じく恩師の教え子だったH氏からワインが届いた。
今は奥様の郷里の山形にいらっしゃるそうで、
公演には行けないけど、地元のワインを送りますとな。
粋だねぇ。


大学時代、お金が無くて部室で箱ワインを飲んだ後、
早く酔うために坂道を一緒に走ったあのH氏が…
と思うと感慨深い。
すっかり、気の利くいい大人になってた。
いや、そう言う私も子供こそ居ないけど世間的にはいいオバちゃんだけど


いただいた出羽山麓ワインはとても酸味が強く鋭角的で、
まるで大学で演劇をやっていた頃の私のよう。


でもそんな荒削りな私をひと目見て、
「この子はプロになれる」と直感して育ててくれたのが恩師。
彼が居なかったら、私は大学を卒業してどこかの会社の秘書にでもなっていたんだろうなぁ…
どちらが幸せかはわからないけど、
私は今の自分を嫌いじゃありません。