BLUE DIARY

役者・モデル川口凛の奮闘記

一粒で二度美味しい、の巻


「火花」は受賞直前に読んだけれど、
もうひとつの受賞作「スクラップ アンド ビルド」はまだでした。
これ一冊でどちらも読めて、しかも選評までついているそうで。
しかも価格は千円以下で、お得感ありありです。
…な情報を得て、これは買わねばと微熱の続くボンヤリしたアタマで本屋へ。

実家のそばに、立ち読み厳禁のめっちゃ怖い店主のいる本屋がある。
小さい頃からこの店主が怖くて、
マンガでも買おうものなら「こんなもの読まないで勉強しなさいっ」と怒られたものだ。
とにかく怖かった。
私はマンガはガラスの仮面しか読まないので唯一読むマンガだし、
しかも成績は結構良かったので、こんなことで知らないおじさんに怒られる筋合いはない。
でも怖くて口ごたえできずにいた記憶が。

と、こんな店主のいる店に20年振りぐらいに行ってこれを手に取り、
文句言われないうちにソッコーでレジに向かうと、
「これ、盛りだくさんだよね」と鬼瓦みたいな顔だったはずの店主がにんまり笑った。
突然のことでビックリしてうまい返事を返せず、ひたすらドギマギして店を出た。

小さい頃のあの勢いはどこへやら。
柔和なおじいさんになっていた。
時間という流れにゆっくりと洗われて、丸くなったみたいだ。
笑顔を初めて見られた。
時の流れに感謝。